カンパニーの熱がお客様に伝わっています\(^o^)/
連日勇気をいただく感想に溢れています(*^▽^*)
劇評家山田勝仁氏の劇評を掲載させていただきますm(__)m
新宿南口サザンシアターTakashimayaで上演中のこまつ座「たいこどんどん」(作=井上ひさし、演出=ラサール石井)。
たぶん、井上ひさし作品とラサール石井演出は相性バッチリだろうとにらんだが、想像以上の相性の良さだった。井上ひさしが言った「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」を地でいく大傑作となった。
初演は1975年のテアトル・エコー公演。「手鎖心中」で直木賞を受賞した井上ひさしの受賞後第一作「江戸の夕立ち」を戯曲化したもの。
95年のこまつ座公演の初演は観ている。が、あまり印象に残っていない。芝居を観た後、初日通信の記念パーティーに行ったが、上演時間が長いため、すでに散会。二次会でMODEの松本修や有薗芳記らと飲んだのだった。その有薗が今回の舞台に出演しているのだから感慨深い。
今回、主演のたいこもち・桃八は人気・実力ともピカイチの落語家・柳家喬太郎。若旦那・清之助は病気降板した窪塚俊介に代わり、急遽代役となった江端英久。星屑の会でもおなじみ。セリフおぼえの良さでは演劇界随一という。初日5日前の代役にも関わらず、座組にぴったりと納まり、まるで最初からの配役だったかのような安定感だ。星屑の会の時から大好きな役者だが、この代役をきっかけにもっともっと飛躍してくれると嬉しい。
物語は、日本橋の薬種問屋の若旦那・清之助(江端英久)が、ひいきにする「たいこもち」桃八(柳家喬太郎)が、馴染みの女郎・袖ヶ浦(あめくみちこ)をめぐる地回りとのケンカの果てに、猪牙船(ちょきぶね)で江戸湾に逃げるが、海流に流され海を彷徨ううち、「海賊船」に拾われ、行きがかり上、秋田、岩手、宮城、新潟など東北各地を経巡ることになるという抱腹絶倒・奇想天外・驚天動地の地獄めぐりのお話。
ロードムービーならぬ歌入りロード演劇。
借金のカタに鉱山人夫に売られる桃八、バクチで有り金スッて一文無しになる清之助。山賊、乞食の縄張り争い…道中、何度も苦難に遭いながらも何とか切り抜け、ようやく江戸に帰り着くと…。
井上ひさし得意の言葉遊び、ダジャレがふんだんに使われ、知的感興に満ち満ちた舞台。
初期の井上戯曲の持つ残酷、エロス、猥雑、シニカルな笑いが舞台に溢れ出す。
ラサール石井の演出は井上戯曲のエッセンスを丸ごと掬い取り、テンポのいいエンターテインメントに仕上げた。
これほど井上戯曲と相性がいいとは。泉下の井上ひさしも手放しで喜ぶことだろう。
主演以外の役者はそれぞれ、一人5~6役を早変わり。それがまた一糸乱れぬ絶妙さ。楽屋落ちに堕することをよしとしない精緻な演出はラサール石井ならでは。
流浪の果ての生き地獄から帰京した主従二人が9年経ってたどり着いた懐かしのお江戸がもはや二人の江戸ではなく…というのが芝居の眼目。
第二次大戦、そして今の危うい時代に連綿とつながる日本人と日本の「原型」が始まる薩長政治、明治という時代への井上ひさしの鋭い批判。その帰結である今の安倍政権を見通している。
有薗芳記、木村靖司、俵木藤汰、野添義弘、森山栄治、小林美江、酒井瞳、新良エツ子、武者真由。木村の洒脱さ、これほど歌がうまかったとは知らなかった俵木。ラッパ屋のメンバーが外部で活躍しているのは嬉しい。あめくみちこがまた八面六臂の演技。アイドルグループ「アイドリング!!!」出身の酒井瞳がなんとも可愛い。
音楽は宇野誠一郎、玉麻尚一。川崎悦子の振付による”エロカワ”なダンスも見もの。
卑語、猥語織り交ぜた井上ひさしの歌詞のなんと大らかで楽しいこと。
初演の1975年は今よりはるかに自由な時代だったということだ。
舞台の主役たる桃八の柳家喬太郎の芝居は静と動、柔と剛、軟と硬を軽やかに往還し、その軽妙精緻な演技を褒めるには万言費やしてもなお足りない。話芸の粋を極めた人は芝居の世界でも才能を極めるものか。どこにもケチをつける隙がない。こまつ座の芝居の中でも最高の出来。傑作ぞろいの井上戯曲、就中、初期の井上ひさしの芝居はどこを切っても真っ赤な血がほとばしるような凄艶な美しさがある。それを鮮烈によみがえらせるラサール石井の演出手腕に感服の一語。
終演後、挨拶しようと思ったが、別の舞台の稽古とか。相変わらずエネルギッシュ。木村さん、俵木さん、有薗さん、江端さんに挨拶。
こまつ座公演は5月20日まで。
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